保育園

保育士の研修を解説!求められるスキルアップや資格について

2020.04.01
保育士資格は国家資格のため、学校に通い勉強をして資格を取得します。保育士は他の職業と同じでキャリアアップの道があります。本記事では保育士のスキルアップの方法や役に立つ資格、その取得方法やキャリアアップ研修の詳細について解説します。保育士を目指している方は参考にしてください。
昨今、少子化が叫ばれていますが、東京をはじめとする都市部や地域によっては保育園や保育士不足になっているところもあり、待機児童問題が国会でも審議をされています。昨年の10月から幼児教育無償化も始まり、幼稚園などでも早朝保育や延長保育を実施し、保育園と同じサービスを提供する幼稚園も増えてきています。

幼児教育無償化がスタートしたこともあり、今後さらに色々な園児・保護者とのコミュニケーションを取る必要があり、そこで働く保育士もより高いスキルが求められます。また、スキルアップすることで処遇改善につながります。本記事では保育士に必要なスキルアップについて解説します。
都心部では施設が足りず待機児童問題が深刻化している一方、地方では少子化が進み、経営が成り立たない園も増えています。そんな中で保育士に求められる仕事内容やスキルも変化しています。国家資格である保育士資格に加え専門的な資格を持つことで、園にとってもプラスになり良いアピールポイントとなります。

またスキルアップして役職に就くことで、昇給が見込め処遇改善のきっかけを作ることも可能です。復職や転職する際にも、アピールポイントになります。経験の浅い若手保育士も研修などでスキルアップすることができ、若いうちから色々な仕事を任せてもらえたり、昇給に繋がるケースもあります。
保育士がスキルアップする方法は、大きく分けて以下の2点です。それぞれについて解説します。

■ 資格の取得
■ 研修を受ける
保育士に人気のある、代表的な資格は以下です。

■ 絵本専門士
■ リトミック指導者
■ チャイルドマインダー
■ 育児セラピスト
■ 認定病児保育スペシャリスト
■ 幼児安全支援員
■ 保健児童ソーシャルワーカー
■ 社会福祉士
■ キャンプインストラクター
保育士には昇格をサポートする、キャリアアップ研修制度があります。2017年4月より一般保育士と主任保育士とは別に以下3つの役職が新たに追加されました。

■ 職務分野別リーダー
■ 専任リーダー
■ 副主任保育士(園や法人によって呼び方が異なります)

役職にステップが付加されたことで、若手や中堅職員も役職に就く割合が増え、給与水準のアップも期待されています。
ここからは現在保育士として活躍している人が、より専門性を高めるための研修制度について解説します。研修によってスキルアップすると保育士としてプロフェッショナルに活躍できるようになります。
保育士等キャリアアップ研修は行政が主体となり、各地方自治体で行われている研修です。キャリアアップ研修は全国都道府県で実施されていますが、その資格は全国共通です。また、保育に役立つ幅広い専門知識を勉強できるため、今後のキャリアアップや昇給にもつながります。

正社員だけでなく、契約社員・パート・派遣社員といった非正規雇用者も受講可能で、技能を習得することでキャリアアップを目指すことができます。
キャリアアップ研修には8つの研修分野があり、各分野15時間以上の受講が必要となります。

■ 乳児保育:主に0歳から3歳未満児向け
■ 幼児保育:主に3歳児以上向け

保育内容に関して理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた保育を行う力を養うことを目的としています。また、他の保育士に対して乳児保育に関する適切な指導ができるように、実践的な能力を身に付けます。幼児保育に関しては、小学校教育への接続という大切な内容も含まれます。

■ 障害児保育
障害児保育に関する理解を深め適切な障害児保育を計画し、個々の子どもの発達の状態に応じた障害児保育を行う力を養うことを目的としています。障害のある子どもや医療的ケア児の理解を深め、他の保育士等に障害児保育に関する適切な助言及び指導ができるように、実践的な能力を身に付けます。

■ 食育・アレルギー対応
食育に関しては栄養の基本的概念の理解を深め、適切に食育計画の作成と活用ができる力を養います。また、アレルギーに関しては、アレルギー疾患の理解を深め、食物アレルギーのある子どもへ適切にアレルギー対応を行うことができる力を養います。

■ 保健衛生・安全対策
保健衛生と安全対策に関する理解を深め、適切に保育計画の作成と活用ができる力を養い、他の保育士等に保健衛生・安全対策に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付けます。

■ 保護者支援・子育て支援
保護者支援・子育て支援に関する理解を深め、適切な支援を行うことができる力を養います。保護者に寄り添う事で、保護者の育児負担を軽減させる支援方法を身に付けます。

■ マネジメント研修
主任保育士の下でミドルリーダーを担う立場に求められる役割と知識を理解し、自園の円滑な運営と保育の質を高めるために、必要なマネジメント・リーダーシップの能力を身に付けます。

■ 保育実践研修
子どもに対する理解を深め、保育者が主体的に様々な遊びと環境を通じた保育の展開を行うために必要な能力を身に付けます。体、言葉・音楽、物を使った遊びを理解し、実践する方法などを学びます。
前述のキャリアアップ研修と違い、役職研修は管理職を育てるための研修です。役職研修は以下の3点です。

■ 副主任保育士
■ 専門リーダー
■ 職務分野別リーダー
副主任保育士へのキャリアアップは保育士として7年以上勤務経験があり、職務分野別リーダーを経験していること、マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了していることが条件となります。副主任保育士の主な業務は管理職を担当します。

対象者は園長・副園長・教頭等を除く全体の1/3とされているため、要件を満たしても必ずしも在籍している園で副主任になれるとは限りませんが、研修を修了しておくことは主任保育士へのステップアップとして重要となります。
専門リーダーへの条件は保育士としての7年以上の勤務経験と、マネジメント+4つ以上の分野の研修が修了していることが必要となります。副主任保育士が管理職を担当するのと違い、専門リーダーはあくまでも現場のスペシャリストとして活躍する役職となります。
職務分野別リーダーは、キャリアステップの最初となる役職です。保育士としての経験年数が概ね3年以上あり、担当する職務分野のキャリアアップ研修を修了していることが条件となります。若手保育士でも、キャリアアップしやすい条件となっています。
研修を受ける際の注意点をまとめます。

・研修の日程
研修は主催者や項目によってさまざまな条件で行われます。特に、日程に関しては、他地域での宿泊を伴う場合や複数回にわたるものもあります。事前にスケジュールを把握しておくことが必要となります。

また、研修受講者の全てがキャリアアップできるわけではありません。下記に記載するように、各役職に就くことができる人数は決まっています。

・副主任保育士と専門リーダー
園の全職種・全職員の1/3(園長と主任保育士を除く)

・職務分野別リーダー
園の全職種・全職員の1/5(園長と主任保育士を除く)

確実にキャリアアップできるわけではありませんが、保育士としてキャリアアップ研修を受けておくメリットは高く、将来的に非常に役に立ちます。例えば、産休・育休で離職しても、それまでに修了した研修は有効となりますので、復職の際に大きなアドバンテージになります。

また厚生労働省は、今後も保育士の処遇改善やスキルアップのための制度や研修がより充実するよう努めると意欲を示しており、役職の増加や様々な研修が設けられることが予想されます。
服装は、研修の主催側の指定がない限り、スーツまたはそれに準ずる服装が好ましいです。運動系の研修の場合はジャージなどの運動しやすい服装で、無地やシンプルなラインが入ったオーソドックスなものを着用しましょう。
ここからは前述した保育士に役立つ資格について詳しく解説します。興味のある資格や、これから保育士になろうとしている人も参考にしてください。
日本病児保育協会が認定する日本初の病児保育のプロになるための資格です。病児保育とは風邪や発熱により保育所で預かってもらえない場合に、軽度な突発的な状況で子どもを預かり、ケアすることを言います。

核家族化により、両親が共働きしているとなかなか預け先がない場合が多く、ニーズが拡大しています。認定病児保育スペシャリストは高校を卒業している18歳以上の人であれば、所定の講座と実習を受けることで受験資格を取得できます。
絵本専門士とは、2014年に設けられた民間資格です。絵本に対して高度な知識を身に付け、絵本の魅力を伝える専門家のことを指します。園児に充実した読書活動を指導するための資格であり、主に読み聞かせやおはなし会など本を使った保育で力を発揮します。合計50時間の講座受講と終了課題で身に着く技術は、保育の現場ですぐに生かせるものとなります。
近年、幼児教育でリトミックという言葉を聞くことが多くなりました。リトミックとは音楽に合わせて体を動かしたり、リズム遊びをしたりする音楽教育です。リトミック指導者になるには、スクールに通ったり講座を受講したりすることで資格を得ることができます。

リトミック指導者の資格を保有している保育士は音楽教育に力を入れている園に勤務していることが多く、複数の園を掛け持ちしている保育士もいます。リトミック指導者の資格は、認定団体が複数ありそれぞれのカリキュラムや制度がありますので自分に合ったものを選ぶことをお勧めします。
チャイルドマインダーは、イギリスで生まれた少人数保育のスペシャリストの資格です。
0歳~12歳までが対象となり、こども一人一人の個性を尊重し、自立心を育む安心・安全な保育を目的としています。特別な学歴は必要なく、民間の認定資格なので通信講座を受け、筆記試験に合格することで取得可能です。
育児セラピストは、育児の専門家としてパパママの子育ての不安を知識面・精神面でサポートします。育児セラピストには2級・1級・シニアマスターがあり、日本アタッチメント育児協会の通学講座を修了することで、資格取得が可能です。保育士としてだけでなく、保護者の抱える不安を支えてあげられる立場が求められています。
日本赤十字社が認定する資格です。取得者の大半は、保育士あるいはこどもに関わる仕事に就いています。幼児期に起こりやすい事故の予防とその手当ての方法や、かかりやすい病気とその症状に対する看病の仕方が学べます。
いじめや虐待など、深刻な問題を抱えるこどもや保護者をサポートします。ソーシャルワーカーは児童福祉に関する専門知識を備えており、学校、養護施設などの教育現場に加え、保育所でも求められています。そのため、資格があれば転職や就職をする際にも役立ちます。
保育資格と社会福祉士資格を保有していると、保育所以外に以下の施設などで働くことが可能です。障害者施設を運営する社会福祉法人の保育園で勤務を希望する場合も、有利に働くことがあります。

■ 児童相談所
■ 児童養護施設
■ 障害児入所支援施設
■ 母子福祉センター
■ 児童自立支援施設
キャンプを安全に行うためのルールやマナーを学びます。また野外炊事、キャンプファイアーなどさまざまな活動も学ぶため、課外授業などで役立ちます。ほかにも、野鳥観察や自然観察、冒険ゲーム、キャンプソング等などたくさんの野外遊びが習得できます。
地域や学校で、レクリエーションを指導できる専門家を目指します。日本レクリエーション協会が主催するカリキュラムと認定試験に受かる必要がありますが、さまざまな遊びが学べ、日常の保育活動や、各種行事など幅広いシチュエーションで活用できます。
ここまで保育士のキャリアアップ研修や人気のある資格について解説しました。研修などを利用して保育士としてどのようなスキルを磨けばよいか解説します。保育士が磨くべきスキルは大きく分けて以下の5点です。

■ コミュニケーション
■ カウンセリング
■ 音楽など仕事場で使えるスキル
■ 英語などの語学力スキル
■ パソコンなどの書類や資料の作成スキル
保育士が働きやすい環境を作るには、こどもはもちろん、保護者や同僚とのコミュニケーションが必須となります。他者理解のために必要なのは「傾聴力」です。また、悩みを感じ取り、引き出すためには「質問力」が必要です。

こどもの些細な変化を同僚や保護者に伝えることや、保護者や同僚の悩みを感じ取って会話をすることを通し、より良い環境を作ることができます。その結果、保護者も安心してこどもを預けることができ、同僚との関係も良好になります。
前述した育児セラピストや、保健児童ソーシャルワーカーといった専門職のように、保育者として、こどもや保護者と関わる能力を高めるスキルです。カウンセリングマインドを身につけた保育の専門家として、子育て家庭の良き援助者になる力を身につけましょう。
ピアノや歌に合わせて、体を動かしたりするリズム遊びを「リトミック」といいます。
リトミックは、子どもの音楽的能力、身体能力、創造力、人間力の幅を広げる効果があるといわれています。

音楽面ではリズム・音感・発声・作曲・分析などの能力を身に付けられ、身体能力の面では手足の使い方や反射神経、柔軟性が養えます。みんなで手をつないだり、一緒に体をほぐしたりすることで、思いやりや協調性、責任感が芽生えます。メロディに合わせてあいさつをし合うことで、社会性も身に付きます。

また、幼児期に正確な音や正しいメロディに触れることはとても大切です。
近年の国際化に伴い、外国人保護者が急増しています。専門のインターナショナルスクールも定員オーバーとなり、外国語対応可能な保育所の需要も増えています。また英会話教育が低年齢化しており、定期的に専門の講師を招きカリキュラムを組む保育所も多くあります。

保育士がTOEICや英検などの資格を保有しておくことは大きなメリットになります。
保育士にはパソコンスキルも必要です。特に、管理業務ではたくさんの情報を管理しデータ化することで円滑に仕事を進めることが可能です。園の方針で手書きのお便りを作るところもありますが、パソコンでテンプレートやイラストなどを使い、短時間で手書きとは違った個性を出すこともできます。
本記事では保育士に求められるスキルアップや資格、研修制度を解説しました。概ね3年以上の経験者から研修を受けることができるということも、良い環境です。

【保育士がスキルアップする2つの方法】
・資格の取得
・研修を受ける

【保育士に人気の資格】
・絵本専門士
・リトミック指導者
・チャイルドマインダー
・育児セラピスト
・認定病児保育スペシャリスト
・幼児安全支援員
・保健児童ソーシャルワーカー
・社会福祉士
・キャンプインストラクター

【保育士のキャリアアップ研修8つの分野】
・乳児保育
・幼児保育
・障害児保育
・食育・アレルギー対応
・保健衛生・安全対策
・保護者支援・子育て支援
・マネジメント研修
・保育実践研修

【認可園の役職研修】
・副主任保育士
・専門リーダー
・職務分野別リーダー

【保育士が研修などで磨きたいスキル】
・コミュニケーション
・カウンセリング
・音楽など仕事場で使えるスキル
・英語などの語学力スキル
・パソコンなどの書類や資料の作成スキル

【保育士の研修まとめ】
・キャリアアップすることで処遇改善効果がある
・役職研修でさらなるステップアップが可能
・研修を受けるには注意点がいくつかある
・服装には注意し、研修日程も事前に確認が必要
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