保育園

保育園で働く看護師とは?役割・仕事内容・給料など気になるポイントを解説

2020.04.15
看護師には、医療機関だけではなく、保育園で働くという選択肢があります。では、保育園で働く看護師の仕事はどのようなものになるのか。本記事では需要が増えつつある保育園の看護師の仕事内容、保育園で働くメリット・デメリット、待遇などを解説します。
保育園に勤めているのは保育士という印象がありますが、保育園には看護師の資格を持つ人も勤めていることがあります。

看護師・准看護師の資格を持つ人の転職先としても保育園は人気があります。病院や病棟勤務と違い、夜勤もなく保育園によっては時短勤務も可能です。また固定シフトが多いため、看護師の資格を持つ人が子育てから復帰する際や、ワークライフバランスを大切にして働きたい方には、魅力的な職場です。

次項から保育園での看護師の役割、仕事内容、メリット、待遇について詳しく解説します。
保育園には保育士だけではなく、看護師を配置することが厚生労働省によって推奨されています。そのため、保育園での看護師の求人も増えてきています。

近年、待機児童問題に加えて潜在保育士の増加から、人手不足など保育園が抱える課題は山積み状態といえます。しかし保育園では1名に限り、看護師を「保育士」としてカウントできるというルールがあります。保育士ではなくても看護師は専門職として、保育園で活躍することができるのです。
病院やクリニックなど医療の現場とは異なる、保育園での看護師の主な役割は「園児の健康」「職員の健康」「保護者・家庭の健康」を守ることです。

保育園に看護師として勤めるため、園児の健康管理はもちろんのこと、保育士や調理師・用務員など職員の健康管理や衛生指導、そして園児の保護者や家庭の健康に対しても気を配ることが求められます。園児を中心に幅広いケアを行うことで、保育園全体の健康と衛生を保つことができるのです。

最近ではアレルギー給食に対応している保育園も増えており、保育園はアレルギーを持つ園児の対応に加え、障害を持つ園児に対しての対応なども必要とされています。また、基本的に共働きをする家庭の児童が多いことから、保育中の突発的な病気に対して迅速なケアができる看護師の需要はますます高まっています。
ここからは保育園の看護師の仕事内容について、詳しく解説していきます。
保育園看護師の仕事の中でも一番重要なものは、園児の健康管理です。保育中にケガをしてしまった園児の応急手当や、体調を崩した園児の看護、インフルエンザやノロウイルスなどに対する感染予防の指導も仕事内容の1つです。

保育園看護師が本格的な医療行為を行うことは基本的になく、採血や点滴などを保育園で行うことも、ほぼありません。
保育園看護師は保護者に、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症や流行している病気、日々の衛生などに関する情報提供・指導を行うことも仕事です。月に一度「保健だより」を発行する、掲示板にポスターを貼る、などを行い注意喚起することも必要となります。
保育園内で行われる健康診断や歯科検診など、検診の準備や医師への補助・記録や保護者への報告などを行います。検診内容の結果を分析し、今後の保健指導に活かすことも保育園看護師の大切な仕事です。
インフルエンザやノロウイルスなど、感染症の予防や食中毒に関する情報提供や保健指導、必要物品の準備や使用方法などを保護者会で説明し、保育園内や家庭内での注意事項を保護者に発信します。
保育園看護師は、遠足など園外保育の同行サポートも行います。不慮の事故や病気に備え、行き先の近隣病院の情報収集や連携も仕事の一つです。
保育園によっては、アレルギー対応の給食やおやつを提供しているところも多くあります。保育園看護師は食事の提供などにおいて、アレルギーを持つ園児への対応を行います。万が一アレルギー症状を発症してしまった場合には、全職員が緊急の対処をできるよう普段から指導することも、保育園看護師の大切な仕事です。
園児の年齢に応じ予防接種の情報を提供します。忙しい保護者に情報をしっかりと伝えることが必要とされます。
保育室や廊下、トイレや水回りなど、特に園児が使用する場所の衛生状態が清潔に保てているか、危険なものがないかなどのチェックを行います。
保育園看護師は園児だけではなく職員の健康にも気を配り、時には相談相手としての窓口になることもあります。職員の健康は園児の健康、ひいては園全体の健康につながるため、日頃から気を配る必要があります。
保育園看護師は病院やクリニックとは異なり、保育園で子どもたちの健康を守るお手伝いができることや、夜勤がないことから就職を希望する看護師が増えてきています。子どもが好きな看護師や日勤のみの就業先を探している人には、人気が高まっている保育園看護師の給与の相場をまとめました。
保育士を対象とした国の給与調査を元に保育園看護師の給与を試算しました。

・2017年の調査
看護師の一般的な平均月給は2017年度で33.1万円、年間賞与は79.9万円、年収換算478.2万円となっています。保育園勤務の保育士は病棟勤務の看護師と比較すると7割程度です。
保育園勤務の看護師について、給与の目安がどれくらいか、国の給与調査をもとに試算します。

2017年の一般的な看護師の平均月給は33.1万円、年間賞与は79.9万円で年収に換算すると478.2万円でした。これに対して保育園勤務の保育士は22.9万円、年間賞与は66.2万円、年収にすると342.1万円です。

保育園勤務の保育士の場合、病棟勤務の看護師に比べると7割程度にとどまるようです。ただし、保育園看護師は園に1名程度しか配置されないため、一般的に同僚の保育士よりも月給額が上乗せされているケースもあります。

・2018年度の内閣府調査
2018年度の内閣府の調査の結果、以下のようになっています。(表1参照)

私立保育園では看護師は保育士よりも月給換算1.7万円、年収では約20万円の収入差があることがわかります。公立保育園の場合には開きがさらにあり、月給換算7.3万円、年収では約90万円も高くなっています。この調査からも、医療の専門知識が求められる看護師は保育士に比べ給与が高いことがわかります。
出典:「平成29年度・賃金構造基本統計調査」/厚生労働省
保育園看護師の求人を見ると正看護師の募集が多いものの、准看護師でも求人さえあれば保育園看護師として勤務することはできます。実際、求人を見ると、園によっては「准看護師でも可」としているところもあります。ただし正看護師を求めている保育園も多いため、募集要件をしっかりと確認してください。
保育園看護師に向いている人は以下の通りです。

■ コミュニケーション能力がある人
■ 子どもと関わる仕事経験がある人
■ 小児科勤務経験がある人
■ 育児経験のある人

保育園看護師は病院やクリニック勤務の看護師とは異なり、1日中子どもと関わる仕事となるため、保育に関するスキルやコミュニケーション能力もある程度は要求されます。子ども好きであることや、子育て経験、小児科勤務経験、子どもに関わるボランティアなどの経験があると保育園看護師の仕事にも役立ちます。

また、子どもだけではなく保護者や全職員の健康を守るという役割もあるため、健康に関する知識が豊富であること、保護者に健康に関する情報をしっかりと伝えることも必要とされます。
保育園看護師の求人を見ると、時短勤務での募集を行っているところもあります。求人や園次第のため、時短で保育園看護師の仕事を希望している人は、求人内容をしっかりと確認しましょう。
都内は保育園が集中しているので、看護師の需要も高い傾向にあります。そのため、駅から近い保育園や住宅手当付きの保育園、昇給やボーナスの支給制度ありなど好条件の求人も多くあります。

保育園看護師の求人を探す際には、給与や条件など詳細を知ることのできる転職サイトを利用してみましょう。色々な求人と比較し検討できるため効率が良い転職活動ができます。

保育園看護師は常勤の日勤看護師の中でも比較的人気の仕事です。好条件な求人内容を出している保育園は人気も高く、すぐに採用が決まってしまう場合もあります。転職サイトには非公開求人といい、不特定多数の人に知ることができないようになっている求人も紹介しています。転職のチャンスを逃さないためにも上手に利用してください。
保育園での看護師は1名勤務が一般的となっています。そのため園内で起きた事故やケガなどに対して医療的な判断を求められることもあります。緊急時に迅速な対応が求められるため、園児の年齢に応じた適切な対処法をあらかじめ把握しておく必要があります。

また保育園は集団生活のため、感染症の発生にも細心の注意を払う必要があります。乳幼児期に多い疾患の把握や発症状況の確認、予防方法など保育士への注意・啓発を行うことも必要です。

保育園では保育士のサポートも行うため、絵本の読み聞かせ、工作、ピアノやリトミックなども身に着けておけば、さらに仕事も行いやすくなります。子どもとの信頼関係を築くためにも身に着けておくと良いスキルのため、保育士から教えてもらうなどして積極的に取り組んでください。
保育園で働く看護師と病院やクリニックに勤務する看護師を比べた時のメリット、デメリットをまとめました。
保育園において看護師業務が医療機関と大きく異なるのは、子どもの成長を間近で感じることができることです。そのほかにも保育園で看護師が働くうえでのメリットについて解説します。

・カレンダー通りの休み
勤務形態が常勤か非常勤かで違いはあるものの、夜勤は基本的にないためプライベートの計画を立てやすくなります。多くの保育園は午前7時ごろから午後6時30分~7時ごろまでが開園時間となります。その間でシフト制になることもありますが、看護師はたくさんの園児がいる時間帯の勤務になることが多いです。

・夜勤がない
夜間保育を行っている保育園は少なく、医療現場のように交代で夜勤をしなくてはならない環境ではありません。

・子育て経験が活かせる
子育て経験がある人はその経験を活かすことができる職場です。保護者とのかかわりの中でも経験者としての立場からコミュニケーションも取りやすくなります。

・医学的な知識や経験が活かせる
医学的な知識を職員や保護者に伝える際には、これまでの知識や看護師経験が役立ちます。

・保育士宿舎借り上げ支援事業の利用ができる
国の施策の1つで、保育士を確保するために「保育士宿舎借上げ支援事業」があります。東京で行われている保育士宿舎借上げ支援事業では、原則月額8万2千円までの家賃補助をしてくれます。

厳密にいうと保育事業者が宿舎を借上げ、一定要件を満たした保育士(看護師)を採用し住居を提供した場合、家賃の8分の7(8万円の家賃であれば7万円)を都や区が負担する制度です。保育士としてみなされている看護師もこの制度の対象となります。
次に保育園で看護師として働く場合のデメリットもまとめました。

・同職種がいない
保育園看護師は基本的に1人の配置となるため、同職種の同僚がいません。仕事の悩みや人間関係の悩みを打ち明けられる同職種の人がいないのは、厳しい環境と感じる人もいます。園の中で孤立しないように、積極的に保育士の中に入りコミュニケーションを取るようにしていきましょう。

・保護者とのかかわりが難しい
医療現場においても患者家族との関わりを難しいと感じることがありますが、保育園も保護者との関係性が難しいこともあります。子どもたちを見守るためにも、丁寧に対応することが求められます。
保育園看護師は子ども好きな看護師におすすめの職業です。家庭との両立もしやすい上に子育て経験があれば活かすこともできます。また子育て中の方が保育園看護師として勤務しているケースも多いです。

保育園で働く看護師の役割や給与などの待遇面など紹介したことを参考に、看護師としての新しい働き方を見つけてください。
←ブログ一覧に戻る