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保育士試験の実技試験内容・対策を解説【音楽/造形/言語表現】

2020.03.11
保育士資格試験には、筆記試験と実技試験の2つが存在しています。実技試験は難易度が高そうと思っている方もいるかもしれません。そこで、本記事では実技試験の内容や対策についてご紹介していきます。保育士試験を受験する前に、しっかりと確認しておきましょう。
保育士になるためには、保育士資格が取得できる大学や短大・専門学校を卒業する他に、保育士資格試験を受けて合格する方法があります。その保育士資格試験には、筆記試験の他に実技試験が存在しています。

保育士資格を取得するための実技試験というと、ピアノを弾くことを想像するかもしれませんが、実は実技試験の内容はピアノ演奏に限りません。というのも、保育士資格試験の実技試験には、「音楽表現」「造形表現」「言語表現」の3つがあり、その中から自分が受けたいものを2つ選択して受験するからです。

3つの実技試験から自分の得意とする分野を2つ選択すればいいため、ピアノを弾くことを苦手としている場合は「音楽表現」を外し、「造形表現」と「言語表現」を選択して受験すればいいでしょう。次項では、それぞれの実技試験の内容を詳しく紹介していきますので、チェックしてみましょう。
まずは、「音楽表現」に関する試験について紹介していきます。保育園では、子どもたちと一緒に歌を歌うことが多いというのは、想像がつくことでしょう。ピアノに合わせて子どもたちが歌を歌う姿を想像することは容易なことです。保育士資格試験での「音楽表現」は、どのような試験を受けることになるのかみていきましょう。
保育士資格試験の「音楽表現」の実技試験では、ピアノ、ギター、アコーディオンの中から1つ選択し、課題曲を弾き語りします。ピアノでなくてもいいという点は意外かもしれません。ピアノが苦手だとしても、ギターが得意であればギターで弾き語りをすれば問題ありません。ピアノに限らないので、注意しておきましょう。

弾き語りの課題曲は童謡です。また、2曲を弾き語りすることになります。課題曲は事前に知ることができるので、しっかりと練習して実技試験に挑むことができるのは、安心でしょう。演奏するだけでなく弾き語りなので歌う必要もあります。しかもやり直しはできません。チャンスは一度だけなので、覚悟して挑みましょう。
演奏することだけが試験内容ではなく、元気よくしっかりと歌えているのかもチェックポイントです。演奏よりも歌う声が小さいとマイナスになってしまうため、演奏に気を取られがちかもしれませんが、とにかく大きな声で元気よく歌うように心がけましょう。

ピアノやギターを演奏することを得意としている人はたくさんいるかもしれませんが、同時に歌わなくてはいけません。弾き語りができるように、練習しておきましょう。また、やり直しができないため、間違ったとしても止まらずに演奏を続けられるかもポイントのひとつかもしれません。間違ったとしても止まることなく、すぐにアレンジするなどして対応できるかが鍵です。

演奏に自信がなくても、楽しそうに演奏することも大切です。真剣さは必要ですが笑顔を見せる余裕を持てるようにしましょう。
「音楽表現」に続いて、「造形表現」に関する試験内容についてご紹介していきます。保育施設では、子どもの年齢に合った工作などの造形活動をすることも多いでしょう。子どもの年齢によって、使用する道具も違ってきますし、造形するものも変わってきます。また、同じものばかりを作ってしまっては、子どもたちが飽きてしまいます。そのため、子どもと楽しむ「造形」は、多くのアイデアやレパートリーが必要になります。

次項では保育士資格試験の実技試験では、どのような「造形表現」をするのか、確認していきます。
幼児と一緒にできる制作活動などをすると想像しがちですが、保育士実技試験の「造形表現」は違います。「造形表現」の実技試験では、当日発表される課題の絵を制限時間内に描きます。制限時間は45分で、持参できる道具は、鉛筆もしくはシャープペンシル、色鉛筆、消しゴムです。また、時間を確認するために腕時計も持参できます。

ここに紹介した道具以外のものは、試験当日持ち込みができないため注意しておきましょう。過去問題を確認すると、課題は保育の一場面を描きます。平成29年度の試験では給食の準備、食事中、片づけから1つを選び、その様子が分かるように描くという課題でした。

さらに条件が定められており、子どもを3名以上、保育士を1名以上描くこと、枠内全体を色鉛筆で着彩することとあります。他の実技試験と違い、課題が当日発表されます。事前にどのような絵を書こうか構成を考えることも、練習していくこともできないため、難易度が高めです。
「造形表現」の課題は当日発表されるため、難易度が高めと判断する人が多いです。制限時間があること、そして様々な条件が定められているため課題内容をしっかりと確認する必要があります。描く絵のポイントとして絵に動きがあること、明るいイメージであること、遠近感があること、温かみが感じられること、色彩豊かであること、落ち着いた色合いであることがあげられます。

紹介したポイントに気を付けながら、自分なりに造形表現すれば問題ないでしょう。
3つの実技試験のうち、最後に「言語表現」についてご紹介していきます。子どもと長時間一緒に過ごす保育士には、子どもに適した話し方や言葉遣いなどが求められます。また、話すスピードが速すぎてしまうと、子どもたちは保育士の話の内容を理解することができません。

しっかりと幼児に合った話し方ができているのかをチェックする実技試験になります。では、「言語表現」の試験内容についても確認しておきましょう。
「言語表現」の実技試験では、指定された4つのお話の中から1つを選択し、20人程度の子どもたちがいることを想定して3分間で話をします。3分間で話をするように自分で展開を工夫し、編集する必要があります。

3分間に納まるように話をまとめる必要がありますが、3分間の時間が余らないように気を付ける必要もあるでしょう。課題は試験前に分かるため、自分なりに3分間にまとめ、話す練習を事前にすることが可能です。
「言語表現」の実技試験で気を付けるポイントとして声の出し方、言葉遣い、幼児に対する話し方ができているのかが大切になってきます。

話すスピードが速すぎてしまうと、幼児は理解できませんし、持ち時間の3分が余ってしまうおそれもあります。言葉の表現の仕方に気を付けるとともに、話すスピードについても頭に入れておくことが大切でしょう。どのくらいのスピードで話すのか、事前に練習しておくことも必要です。また、試験当日は緊張もあり、事前の練習よりも話すスピードが速くなってしまいがちですので、注意しておきましょう。
保育士資格試験の実技試験は、筆記試験の合格者を対象に行なわれます。つまり、筆記試験をクリアしなければ、保育士実技試験を受けることすらできないのです。保育士資格試験は、前期と後期の1年に2回行なわれます。例年、保育士資格の実技試験は前期が6月の第4日曜日、後期が12月の第2日曜日にあたることが多いようです。

令和元年の保育士資格実技試験は、前期が6月30日(日)、後期が12月8日(日)でした。ちなみに、令和2年(2020年)は、前期の保育士筆記試験が4月18(土)、19(日)に行なわれ、実技試験が6月28日(日)に予定されています。そして後期の保育士筆記試験が10月24日(土)、25日(日)に行なわれ、実技試験が12月13日(日)に行なわれる予定です。
保育士資格試験に行く際の服装も気になるところでしょう。保育士資格試験自体、服装は自由です。とはいえ肌の露出が多い服装や、高いヒールの靴、ラフすぎる服装では見た目の印象がよくありません。スーツで試験を受ける方も多いようですが、必ずしもスーツを着用しなければいけないわけではないため、見た目の印象が悪くならないような服装を心がけて当日足を運びましょう。

また、爪が伸びていないかチェックしておくことも忘れないようにしましょう。マニキュアは落としていった方が無難です。目立つアクセサリー類も外しておいた方がいいでしょう。
保育士実技試験の合格率も気になるはずです。実技試験の内容について紹介してきましたが、難しそうだと感じた方も多いでしょう。そこで保育士実技試験の合格率についてもご紹介していきますので、チェックしておいてください。
保育士実技試験の合格率を紹介する前に、実技試験が行なわれる時期についても再確認しておきましょう。先に説明していますが、保育士資格の筆記試験を合格した方のみが実技試験を受けることができます。例年、6月、12月に実技試験が行なわれているようです。筆記試験の日程からは、およそ2ヵ月程度空くため、筆記試験に合格してから実技試験の対策に取り掛かってもいいかもしれません。

筆記試験の方が合格率が低いため、まずは筆記試験に集中しましょう。そして筆記試験から実技試験までの期間で、実技試験の過去問や課題を何度も練習し実技試験当日に備えてください。
保育士実技試験の合格率は、80%ほどと言われています。実技試験よりも筆記試験の方が合格率が低く、25%程度です。つまり保育士資格の筆記試験にクリアすれば、保育士資格試験に合格できる確率はかなり高いということです。

ちなみに保育士筆記試験は、8教科9科目のマークシート方式で、全ての科目で60%以上の点数を取れば実技試験に進むことができます。この筆記試験にクリアすることの方が難しいので、実技試験ばかりを気にするのは避けた方がいいでしょう。また筆記試験を合格し、実技試験で不合格となってしまった場合は、次の保育士試験では筆記試験が免除され、実技試験だけを受験すればOKとなります。
筆記試験をクリアすれば、保育士資格試験に合格する確率はかなり高くなるとご紹介しましたが、それでもやはり実技試験の難易度が高いのではないか、と気にしてしまう方も多いと思います。そこで、実技試験を受ける際に注意したいポイントをご紹介していきます。ここでは、4つのポイントに注目してご紹介していきますので、ひとつずつしっかりとチェックしておきましょう。
保育士になりたいのであって、ピアニストになるための試験ではありません。さらには、絵描きになるための試験でもありません。そのため、技能に完璧さは求めなくても大丈夫です。完璧に演奏しなければ、完璧に絵を描かなくてはと思ってしまいそうですが、そんな風に思わずに試験に挑むことが大切です。
先にも紹介しましたが、実技試験はピアニストになりたいわけでも、絵描きになりたいわけでもなく、保育士になるための試験です。演奏家や芸術家のプロになるための試験ではないため、完璧さを求めるよりも、子どもと接するように実技を披露することが大切になります。そのために失敗は恐れないでください。失敗してもいいけれど、失敗を失敗で終わらせず、しっかりと最後まで対応することの方が重要です。

例えばピアノやギターの演奏で間違ったとしてもそこで止まらずに、子どもたちと一緒に歌うように最後まで弾き語りを続けることが大切です。一番怖いのは、間違えたことでそのまま音楽を止めてしまうことです。止まらずに続けることを心がけて試験を受けてください。そして保育士になるための試験だということを忘れずに、実技試験に臨みましょう。
実技試験とはいえ、過去問などをしっかりとチェックしておくことは大切です。「音楽表現」「造形表現」「言語表現」どの実技試験でも、過去にどのような課題が出されたかを確認し、過去問で練習をしておく必要があります。

また「音楽表現」では、課題が分かった時点でその曲を何度も練習しておきましょう。さらに、「言語表現」も事前に課題が分かるため、前もって展開などを考えて3分で話す練習をしっかりとしておきましょう。「造形表現」だけは事前に課題が分からず、当日発表されます。そのため、事前に練習しておくことができません。だからこそ、過去にどのような課題が出されたのかを確認し、練習しておくことが大切になります。

「造形表現」は事前に課題の練習ができないため、難易度が高いですが、絵を書くことが好きで得意という方や、どうしてもピアノやギターの演奏が苦手で避けたいという場合は、「造形表現」を選択するのもいいでしょう。
事前に試験の流れを確認しておくことも、大切です。当日どのような流れで進んでいくのかを知っているだけでも、安心できるはずです。保育士実技試験は、朝早くから始まります。8時45分頃にはガイダンスが始まるため、受験番号で分けられた待機室へと向かいます。自分の受験番号を確認し、指示された部屋で待機しましょう。

ガイダンスでは実技試験当日のスケジュールの話、また資料の配布があります。ここで配られた資料で、自分が選択した実技試験の時間や場所がわかるので、しっかりと目を通しておきましょう。

「造形表現」を選択した方は、一斉に試験がスタートします。試験がスタートする前に、鉛筆や色鉛筆、消しゴムなどの道具を使用しやすいように配置しておくといいでしょう。制限時間もあるので、時計も見やすい場所に置いておくようにしましょう。「音楽表現」と「言語表現」については、1人ずつ試験を受けるため、順番が回ってくるのを待つことになります。

選択する実技試験によっては、長い空き時間が出る可能性もあります。空いた時間に何をするのか、さらにはお弁当などを持参することも考えておいた方がよさそうです。

保育士資格の実技試験を受けるには、長い1日になることが予想されます。待機時間も長くなることもあるため、万全な状態で選択した実技試験が受けられるように、当日の流れを確認したうえで、しっかりと準備しておくことも大切でしょう。
保育士資格試験の実技試験の内容や対策について、ご紹介してきました。実技試験は難しそうと思いがちですが、筆記試験の合格率が低いうえ、実技試験の合格率は80%を超えます。さらに「音楽表現」「造形表現」「言語表現」から選択することができるので、自分の得意分野を選び過去問や課題をしっかりとチェックして実技試験に挑みましょう。

完璧さを求めず、失敗したとしてもしっかりと対応して最後まで披露し続けるようにしましょう。そして保育士として活躍できるように、保育士資格の取得を目指してください。
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