保育園

フリー保育士は辛い?担任外保育士のやりがいやお悩み、大切なポイント

2020.03.25
保育士を目指す方や、こどもを保育園に預けようと考えている方でもフリー保育士の存在を知っている人は少ないです。本記事ではフリー保育士の役割や仕事内容、通常の保育士との違いやメリット・デメリット、フリー保育士特有の悩みやその現状について詳しく解説します。
保育園や保育所には、1年間同じクラスを担当する担任保育士がいます。それとは別に、担当クラスを持たず、どのクラスにも属さずに、園全体のクラスのサポートや運営のサポートをするのがフリー保育士(担任外保育士)と呼ばれる保育士です。

保育士の配置については国が定めた基準があり、その基準に沿って保育士を配置します。保育士の配置基準は以下です。この基準を満たすため、フリー保育士を配置しています。一時保育を実施している園では、日によって園児の数が変わります。また、4~5歳児などでは行事や授業の準備で担任保育士の手が足りない時に、フリー保育士が活躍します。

■ 0歳児:園児3人につき、保育士1人
■ 1~2歳児:園児6人につき保育士1人
■ 3歳児:園児20人につき保育士1人
■ 4~5歳児:子ども30人につき保育士1人
フリー保育士は前述したとおり、担当クラスを持たないという意味の「フリー」であり、アルバイトや一時的に雇用されている保育士ではありません。フリー保育士の役目は、担任保育士のサポートや事務作業の手伝いといった補助的な仕事が主となります。0歳児フリーや4歳児以上フリーなど、年齢毎にフリー保育士を配置している園もあれば、全年齢の園児のサポートにフリー保育士を配置している園もあります。次項からはフリー保育士の仕事内容などについて詳しく解説します。
フリー保育士の仕事内容は多岐に渡ります。代表的な以下6点の仕事内容について解説します。

■ 保育園全体のサポートをする
■ 担任保育士の補助やサポートも仕事
■ 保育士がお休みをとるときのサポート
■ 行事のときに子供や担任保育士をサポート
■ 園によっては一時保育も行う
■ 裏方もフリー保育士がサポート
昼食やお昼寝の準備といった忙しい時間帯に、園全体のサポートをすることはフリー保育士の重要な役割です。担任保育士が突発的なトラブルの対応時にもフリー保育士が在籍している事で、安定的な保育を提供することが可能です。

フリー保育士の仕事内容が園全体のサポートとなるため、どうしても雑用や園児と関わらない仕事が多くなります。ただ、フリー保育士の影のサポートのおかげで園の運営が上手く回っているとも言えます。
フリー保育士は、担当クラスを持つ担任保育士の授業進行の補助も仕事の一つです。園によっては1日の中で幼児クラス、乳児クラスをフリー保育士が掛け持ちすることもあります。年齢毎にフリー保育士の担当を分けている園も実際にはありますが、多くの小規模保育園ではすべての年齢の補助をフリー保育士が担当する事になります。
担任保育士が休みを取った場合の臨時担任や、他のフリー保育士が休みの場合の対応も行います。年齢毎にフリー保育士を配置している大規模保育園では、元々フリー保育士が副担任のような役割を担っているケースもあり、その場合は園児とのコミュニケーションも取りやすくなります。

小規模保育園ではどの園児ともコミュニケーションを取る必要があるため、園児一人一人の名前や特徴、話をした内容など覚えておく必要のある情報が担任保育士に比べて多くなります。
園には大切な行事がたくさんあります。運動会やお遊戯会・遠足などでは、こどもたちの製作物の補助や園内の飾りつけなど、様々な作業があります。最近は、手づくりの衣装や制作物に力を入れる園も増えており、フリー保育士も多くの作業があります。

また、担任保育士は運動会などでは自分の受け持つ園児の世話で手がいっぱいになります。その場合は、着ぐるみの中に入るなどの特殊な役割をフリー保育士が担う事になります。
一時保育事業を行っている園の場合、日によって預かる人数が変動するため、フリー保育士が一時保育を担当する事があります。
フリー保育士は状況によって職員室にいることも多く、電話対応や来客対応をする場合もあります。また、授業で必要となる教材や備品の管理・発注作業をすることもあります。
ここからは、担任を持たず園の中で幅広く活躍するフリー保育士のメリットについて解説します。フリー保育士の代表的なメリットは以下3点です。

1.保育園全体の仕事に関わることができる
2.幅広い年齢の園児たちと関りが持てる
3.残業が少なく、持ち帰り仕事も少なくて済む
フリー保育士は担任を持たない代わりに、園全体の仕事に関わります。雑用という言葉でまとめられてしまうこともありますが、園を運営するうえで実はとても大切な業務なのです。直接こどもと関わること以外でも、大切な仕事がたくさんあります。園全体をサポートする万能選手な保育士がフリー保育士の仕事です。
フリー保育士は様々な年齢のクラスのサポートを経験することで、他の保育士の指導方法を学ぶことができます。同時に、多くのこどもや保護者と接する機会も増えるため、コミュニケーションスキルの向上にもつながります。

フリー保育士の経験は、担任保育士になった時に非常に役立ちます。新任保育士をフリー保育士として従事させることで、多くの経験をしてもらうという方針の園も存在します。
担任保育士の場合、担当園児の連絡帳の記入や、お便りの作成をはじめ、保育業務以外にもたくさんの仕事が発生します。

フリー保育士の場合は幅広く園の仕事にかかわることはありますが、持ち帰り仕事や、書類仕事をするために残業をするといったことがほとんどありません。もちろん担任保育士のサポートで残業が発生することはあります。
ここからはフリー保育士のデメリットや特有の悩みについて解説します。代表的なデメリットは以下の8点です。

1.雑用係ではないか?と悩んでしまう
2.覚えないといけない情報量が多すぎる
3.担任保育士より立場は下なの?
4.担任保育士が仕事を任せてくれない
5.異なる教育方針、どこに合わせればよい?
6.仕事が無い。何のためにいるの?
7.私の居場所はどこ?先生としての不安
8.どう働けばいいの?働き方が分からない
保育士の仕事は、日々保育に追われる大変な仕事です。その中で、自分が担当している仕事が雑用仕事ばかりだと悩んでしまうこともあります。多くの保育士はこどもが好きで、保育にかかわりたいという夢を持ち就職します。

しかしフリー保育士になると、多くの園児と関わることはあっても、一人の園児と深く向かい合うような保育をすることが難しくなります。前述したように、行事や園の運営全体にかかわるような業務が多く、直接こどもとかかわることが少なくなるため、仕事が辛いと悩んでしまう事もあります。
多くの園児や保護者と関わるということは、それだけ各個人の情報や、クラスの情報を把握しておく必要があります。園児の体調や、アレルギーの有無、保護者からは園でのこどもの様子を聞かれることもあります。普段からいろいろな情報を把握しておくことが大切になります。

一度に多くの情報を把握することが難しいと感じたり、プレッシャーを感じてしまう人は、辛い思いをすることもあります。
フリー保育士=フリーランス、一時的な勤務といった間違った認識をされたり、中には、担任保育士よりもフリー保育士は立場が下と思っている人がいるようです。実際は、どちらも同じ立場の保育士であり上下はありません。

新人でいきなり担任保育士になる人もいるでしょうし、フリー保育士を経験してから担任保育士になる人もいるはずです。それぞれの立場でしか経験できないことがあるため、与えられた役割でスキルアップしていくことが重要です。
担任保育士の中には、フリー保育士に仕事を任せたくないと考える人もいます。理由はそれぞれあると思いますが、自分が意図しない保育方針で園児と接することを嫌がるなど、自分のやり方で保育を行いたいという人にその傾向があります。

その場合、直接園児にかかわる仕事を指示されることが少なくなることがあり、戸惑うこともあります。そのような場合は、まずは事前に自分が何をしたらいいか確認をしておきましょう。直接園児と接する仕事以外に、授業の事前準備や給食の準備、お昼寝の準備など、スケジュールを先読みした園全体の流れを作る仕事をしていくと担任保育士も安心します。
フリー保育士は担任保育士の教育方針を理解したうえで、サポートをしていくことが必要です。しかし、同じ園の同じ学年でも、担任の教育方針の違いからクラスによって保育の仕方が違うことがあります。

もちろん同じ学年でも園児が違うため、それぞれに合わせた保育が必要になります。別のクラスの方法が良いと思い、自身で勝手に方針を変えたりすることは控え、まずは担任保育士に教育方針を確認し別のクラスの方法を提案するようにしてください。
新設された園や新体制となった園では、人手が足りなくなることを考慮して、フリー保育士を配置する場合があります。しかし担任保育士だけで十分な運営ができている場合、フリー保育士の仕事が極端に少なくなってしまいます。保育に関係のない雑用が多く、こどもに接する仕事が回ってこないことや、園としてもフリー保育士に何を頼めばいいのかわからないことが発生します。

その様な場合は客観的に見て、人手が足りていない部分に関して、自らサポートを提案しましょう。手伝ってもらうことで自然と指示が出るようになるなど、園や担任保育士からの指示も変化してきます。担任保育士や園の責任者も、フリー保育士のサポート提案で気づきが生まれる事があります。
フリー保育士は担任保育士に比べると、一人の園児と接する時間も少なく関係を築くことは容易ではありません。園児からもちゃんと覚えてもらえているのかと、不安になることも多いかもしれません。それは、保護者との関係も同じです。

しかし、園の運営はフリー保育士がいるから円滑に回っていると言っても過言ではありません。短期的、長期的にトラブルがなく、スムーズな運営ができているのであれば、フリー保育士としての仕事がうまくいっている証拠です。
フリー保育士はオールラウンダーです。しかし経験がないと、どのタイミングでどんなフォローをすればいいのか、何を準備すればいいのかを悩んでしまいます。なによりも、担任保育士によってフォローしてほしいことが変わるため、同じシチュエーションでも取るべき行動の答えが違ってきます。

担任保育士とコミュニケーションをとり、わからないことはその都度しっかり確認をしていくことで、自分なりに働き方や動き方を考え学んでいきましょう。
フリー保育士の仕事で大切なポイントは以下の4点です。詳しく解説します。

1.保育園全体の保育士であるという意識
2.園とこどもに対して視野を広く持つこと
3.担任保育士との連携と意思確認が重要
4.保護者や担任保育士のパイプ役になること
フリー保育士は、園全体の仕事に関わります。臨機応変に対応しなければならず、頭や気持ちの切り替えが必要となります。その分、幅広い年齢のこどもと接することが多くなるため、様々な年齢のこどもへの対処方法も身に付きます。この経験は担任保育士では得られない経験です。
さまざまな年齢のクラスや、こどもたちと関りを持つことになるため、多くのこどもたちについての知識を身につけることが必要になります。担任保育士ごとに、教育方針やこどもとの接し方が違う場合もあります。

担任保育士は、自身の担当クラス以外に目を向けることが難しくなります。視野を広く持つことで、担任保育士が見落としがちな部分に気づくこともあります。より多くの経験を積み、そして生かしていけるように自身のスキルアップにつなげていきましょう。
保育園は非常にあわただしい環境です。その中で、担任保育士との連携と意思疎通が重要となります。いま何を優先的にすればよいのか、担任保育士がするべき事と、フリー保育士がするべきことが異なる場合もあります。

そんな時は担任保育士にこまめに確認し、自分が何をしたら良いかを担任保育士と確認し合うことで、円滑な保育活動が可能になります。
どんなに有能な保育士でも、一人で全てのことが出来る訳ではありません。新年度がスタートしたばかりの時期や、行事の準備中などはベテラン保育士でも混乱してしまう事があります。そんな時、園全体を把握しているフリー保育士がとても頼りになります。

担任保育士が園児や保護者とのことで悩んでいたり、把握しきれていない場合、相談相手になったり情報共有をしてサポートすることが大切です。
【保育士の配置基準】
・0歳児:園児3人につき、保育士1人
・1~2歳児:園児6人につき保育士1人
・3歳児:園児20人につき保育士1人
・4~5歳児:子ども30人につき保育士1人

【フリー保育士の仕事内容】
・保育園全体のサポートをする
・担任保育士の補助やサポートも仕事
・保育士がお休みをとる時のサポート
・行事のときに子供や担任保育士をサポート
・園によっては一時保育も行う
・裏方もフリー保育士がサポート

【フリー保育士のやりがいやメリット】
・保育園全体の仕事に関わることができる
・幅広い年齢の園児たちと関りが持てる
・残業が少なく、持ち帰り仕事も少なくて済む

【フリー保育士のお悩みやデメリット】
・雑用係ではないか?と悩んでしまう
・覚えないといけない情報が多すぎる
・担任保育士より立場は下なの?
・担任保育士が仕事を任せてくれない
・異なる教育方針、どこに合わせればよい?
・仕事が無い。何のためにいるの?
・私の居場所はどこ?先生としての不安
・どう働けばいいの?働き方が分からない

【フリー保育士の仕事で大切なポイント】
・保育園全体の保育士であるという意識
・園とこどもに対して視野を広く持つこと
・担任保育士との連携と意思確認が重要
・保護者や担任保育士のパイプ役になること

【その他まとめ】
・フリー保育士というのは、担当を任せてもらえない新人の仕事ではない。
・円滑に園の運営をするためにはとても重要な役割である。
・担任保育士とは違った多くの経験を得ることができる。
・園全体の運営にかかわり、幅広い園児と関わることができる。
・残業が少なく、持ち帰り仕事が少ない。
・実際には雑用や補助仕事も多いが、園の運営を円滑に回すためには重要。
・覚えなければいけない情報が多い。
・園によっては仕事の仕方が違うため、戸惑うこともある。
・フリー保育士の経験が、担任保育士になった際に役に立つ。
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