保育園

派遣保育士の働き方を解説!メリットやデメリット、給料とは?

2020.04.08
保育士の働き方の1つに派遣雇用という選択肢があります。派遣で働く保育士がどのようなもので、正規雇用との違いは何か。本記事では派遣雇用とはどういう雇用形態か、正規雇用との違いやメリット・デメリットを詳しく解説します。
通常の保育士が園と直接契約をして働くのに対し、派遣保育士は、派遣会社と雇用契約し、派遣会社の社員(契約社員)として園で働く保育士の事を指します。派遣会社の提携先には、幼稚園や保育園、認定保育園など様々な施設があり、自分の要望に合わせて選ぶことも可能です。
派遣保育士の仕事内容は園によって違いますが、主に正社員の保育士のサポート役として働きます。担任のような役職を任されることが少ないのが現状です。その理由として、正規社員が足りない場合に派遣社員で補うことが多いため、保育補助的な仕事の指示が多くなります。
派遣の形態には「紹介予定派遣」と「登録型派遣」という2つの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。まずはこの2つの派遣形態について解説します。
紹介予定派遣とは、将来、直接雇用をすることを前提に登録者と契約することを指します。紹介予定派遣の契約内容は大きく分けて以下の流れが多いです。

・派遣会社の登録者へ仕事を紹介する時点で「紹介予定派遣」である事を通知する。
・紹介予定派遣は派遣期間を3ヵ月、6ヵ月、1年と事前に定め、派遣契約終了後に双方合意の上で直接雇用に切り替える事を前提とする。
・紹介予定派遣は契約締結時に直接雇用切り替え後の給与、休日、福利厚生なども登録者へ通知する必要がある。

一般的に多い契約は「派遣期間6カ月、7ヵ月目から直接雇用」です。1つ注意点があり、あくまでも「直接雇用」に切り替える事が前提で「正社員」に切り替えが約束されているわけではありません。直接雇用は正社員、契約社員、パートタイムを含みます。

紹介予定派遣での契約の際は、切り替え後の雇用形態に十分注意してください。
登録型派遣とは、一般的にイメージする派遣契約で働くことを指します。派遣会社へ登録し、派遣会社の社員として保育園で働く雇用形態です。この場合の雇用主は派遣会社で、給与・休日、福利厚生などは登録している派遣会社の規定に準じます。

派遣会社によって福利厚生など様々なため、事前に確認することをおすすめします。派遣会社は応募すると「登録」という作業があります。登録はその派遣会社のデータベースへ、どのようなスキルを持ち、どこに住んでいる方かなどを入力し、派遣会社がその登録者に合った案件を紹介してくれます。

登録型派遣の場合、初回登録をしてからその派遣会社を通じて仕事をしていない場合や、登録してから半年・1年以上経過して派遣会社とコンタクトを取っていない場合は仕事の紹介が少なくなるため、派遣会社とは3ヵ月に1度程度はコンタクトを取る事をおすすめします。
派遣保育士とパートやアルバイトの保育士との違いは、前述したとおり雇用形態に違いがあります。派遣保育士はあくまでも「派遣会社」と雇用契約を締結しているため、給与は派遣会社から振り込まれます。

それに対し、パートやアルバイトの保育士は正社員同様、所属している保育園から給与が支払われます。また、福利厚生も同様で、所属している派遣会社の規定に準じます。2020年4月から派遣法の改正により同一労働同一賃金が導入がされ、派遣先企業は派遣社員に対して直接雇用の社員との区別をしてはいけないという、努力義務がはじまります。

今後は派遣保育士という働き方がどんどん増えてくる可能性も高まっています。
ここからは派遣保育士の給料や待遇、休暇などについて解説します。派遣会社で登録をしたり、仕事の紹介を受ける時の参考にしてください。
派遣保育士の給与は時給制となっており、発生した賃金は派遣会社から支払われます。時給は登録している派遣会社によって幅がありますが、一般的に1,200円~1,800円と比較的高く、パートやアルバイトに比べても高いです。

1点注意が必要で、自宅から保育園までの交通費が出ない派遣会社も多くあります。通常パートやアルバイトの場合「上限月額¥10,000-まで」などの制限はありますが、交通費が別途支給されることが多いですが、派遣会社の場合は特に大手になると交通費が支給されません。自宅から遠いところを就業先に選んでしまうと、交通費が実費となりますので注意してください。
派遣社員は休みが取りずらいと感じている方も多いです。保育士は女性が中心の業界のため、休暇以外に産休や育休に関しても解説します。
通常の休みは勤務する園の運営日によりますが、有給休暇は所定の条件を満たした場合、雇用されている人材派遣会社から付与されます。有給が付与される条件の一例を以下にあげています。

・雇い入れ日より半年間継続して勤務していること
・全労働日の8割を出勤していること

有給休暇を申請する場合、派遣会社と園の両方に申請をする必要があります。また、同じ園の他の保育士と申請日が重なってしまい、調整が必要になることもあります。派遣保育士のメリットとして有給休暇を取得する場合に、派遣会社が仲介し調整役を担ってくれることもあります。
派遣保育士の産休取得には条件があります。まず派遣保育士は、契約期間が定められている雇用者となるため、法律上の条件に該当する場合は産休取得ができない場合があります。

条件1.入社1年未満の者
条件2.子が1歳に達する日を超えて雇用される見込みのない者
条件3.子が1歳に達する日から1年を経過する日までに、雇用が満了し、更新されないことが明らかな者

派遣会社にも所定の条件がある場合がありますので、契約時に確認する必要があります。

また産休は「産前」と「産後」に分かれており、「産前休業」とは、出産予定日の6週間前から雇用されている人材派遣会社に申請が可能になります。※多胎妊娠の場合は14週間前から可能。また産後休業は、労働基準法により出産の翌日から8週間は就業できない規則があり、全ての人が取得できる権利となっています。

産休に関してはセンシティブな話となりますので、契約段階で派遣会社へ必ず確認する事をおすすめします。もし、登録の段階で詳しく説明してくれる派遣会社があればそこは優良な派遣会社です。
育休の申請は、育休開始予定日の1か月前から可能となっており、こちらも法律で定められています。産後休業後、引き続き育休に入りたい人は産前休業前や就業中に申請しておく必要があります。
派遣保育士は通常の保育士と違い、事前に決められた勤務時間や労働条件で勤務します。しかし、まったく残業がないというわけではありません。正規雇用の保育士の補助が多いため、残業量はかなり少ないものの、ありえます。

また残業があったとしても、派遣会社と園との間で取り決めた契約があるため、時給制でしっかり残業代も計算され、請求することができます。正規社員でよくある「サービス残業」といったケースになることがなく、働いた分はしっかり給与として得ることができます。

また、保育士の仕事でよくある「持ち帰り」の仕事も派遣保育士に関しては全くありません。それは前述の通り、派遣会社と園で勤務時間の契約を結んでいるためです。もし派遣保育士として働いていて、園から持ち帰りの作業などを依頼された場合は派遣会社と相談してください。
派遣保育士は、派遣会社を通して契約期間が2か月以上継続している場合、強制的に社会保険に加入することになります。また、短期雇用でも下記の条件を満たしていると、社会保険加入となる場合があります。

・所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8万8千円以上
・勤務期間が1年以上見込まれること

また、以下条件を満たす場合は雇用保険にも強制的に加入が必要です。

・1週間あたり20時間以上働いている
・勤務開始から31日以上働く見込みがある
・学生ではない ※ただし、休学中などの例外あり

社会保険や雇用保険に関しては「労働基準法」やなどで規定されていますので、詳細は登録する派遣会社で確認してください。
派遣保育士として働くにはどのように仕事を探せばよいか、また働くときの条件について解説します。
派遣保育士として働くための特別な条件はありません。後述しますが、無資格でも働くことは可能です。ただし有資格者と比べると求人も少なく、できる範囲も限られます。当然、年齢や男女の制限もありません。気になる求人があれば、一度派遣会社に確認してください。
派遣保育士として働くには保育士資格があると好待遇ですが、保育資格はあるが未経験という人や保育士資格がないという無資格者でも働くことができます。経験や資格がない人は派遣先の保育士さん指導の下、保育補助という形で保育に携わります。

保育士が不足している現状もあり、こどもが好きで保育士になりたい人が採用される可能性は高いです。自身の子育てや子育て支援活動の経験がある人、介護の経験がある人も歓迎されます。派遣保育士の経験や知識は、保育士資格を取る際にも非常に有効です。
女性スタッフが多い保育士業界では、結婚や妊娠といった生活環境の変化による離職も多くあります。一度ブランクがあると、復職する際に様々な障害があるのが現状です。派遣保育士は、有資格者で経験がある人は好待遇になることが多く、派遣会社も積極的に雇用する傾向があります。

またフルタイムの正規雇用に比べ、家庭環境や自身の育児に合わせて、無理のない範囲で勤務することができるため、復職するには理想的な環境といえます。派遣会社によっては、保育研修や講習会があるところもありますので、ブランクを気にせず復職が可能です。
派遣保育士の求人には、短時間でも可能なものが多くあります。家庭的な事情や体力的な事情により、短時間勤務が希望の人も多くいますが、派遣保育士は短時間勤務が可能なため、検討する価値がある勤務形態といえます。
派遣保育士の求人紹介を受けるには、まず派遣会社に登録することが必要です。
登録の際、自身の希望する勤務時間や勤務日数をしっかりと伝えることが大事です。

派遣会社に登録すると、自身の希望する条件に合わせ、派遣会社から派遣先の園を紹介してもらえます。園の担当者と一緒に職場見学をすることもあります。その際にも気になることや質問をしっかりした上で、働くかどうか?慎重に決めることが大切です。

また、派遣会社にも種類があり、すべての職種を取り扱っている総合派遣会社や保育士専門の派遣会社など専門職種に特化した派遣会社があります。

保育士専門の派遣会社は保育園とのつながりも多く、ノウハウも多く持っていますので、まずは保育士専門の派遣会社に登録することをお勧めします。登録後、希望条件と合う派遣先を紹介され、同意すれば派遣先の園で勤務することとなります。
ここからは派遣保育士という働き方のメリットについて解説します。メリットは以下の7点です。

1.柔軟に勤務できる
2.無資格者でも勤務できる
3.賃金が良い
4.仕事の負担が少ない
5.残業が少ない
6.短時間勤務が可能
7.派遣会社のサポートがある
8.定期的に職場を変更できる
派遣労働者は、派遣会社と園との契約によっては勤務開始時間をずらし早朝から勤務したり、夜の遅い時間に勤務できるなどの柔軟性があります。ただ、こちらが希望してもそれを受け入れてくれる園がなければ仕事の紹介はありません。

あくまでも、園からの要請があれば柔軟に勤務ができると言う事です。
無資格者でも派遣会社に登録することができ、派遣先で保育に携わることができます。ただし、有資格者と比べると賃金の差や仕事内容、役割の差は歴然としています。それでも保育に携わりたいという人には派遣保育士はおすすめです。
パート・アルバイトに比べ時給が高く、残業した場合もしっかりと賃金に反映される安心感があります。ただし、派遣会社によっては園までの交通費が別途支給されない事が多く、正社員の保育士は賞与がありますが、派遣保育士は時給労働のため賞与はありません。
保育以外の事務作業や、持ち帰り仕事も任されることは少ないため、体力的にも精神的にも安定して働くことができます。ただし、責任が伴わないというわけではないので注意が必要です。園児を預けている保護者から見れば、正規保育士も派遣保育士も違いはありません。派遣保育士だからという態度で働いていると、契約の継続も無くなりますし、取り返しのつかない事故が起きてしまう可能性は否定できません。
労働条件がしっかりと結ばれているため、余計な残業が少なく、サービス残業になることもありません。もし残業が多い、サービス残業を強要されるなどがあれば派遣会社に相談してください。
園によっては、週2日や、1日3時間といった時短勤務が可能な環境もあるため、短時間勤務も可能です。ただし、短時間勤務の場合は園児と関わる仕事よりも、事務仕事や園の全体の仕事を任される事が多くなります。
園は派遣先であり、労働条件の契約は派遣会社と園で結ばれています。そのため、労働条件の相違や、勤務先でのトラブルに関しても、派遣会社がしっかりとサポートしてくれます。
派遣保育士は雇用期間が決まっているため、1つの園にこだわらず、契約更新せず別の園を探すことができます。働いてから、職場の雰囲気に馴染めなかったり、人間関係に問題が出た場合に、職場を変更しやすい環境といえます。
ここからは派遣保育士という働き方のデメリットについて解説します。デメリットは以下の5点です。

1.契約期間がある
2.ボーナスがない
3.場合によって収入が不安定になる
4.キャリアアップが難しい
5.正社員と壁がある
派遣保育士は契約期間が決まっているため、派遣先の園で長く働きたいと思っても、希望が通らない事もあります。その際に派遣会社から新しい園をすぐに紹介してもらえれば問題はありませんが、なかなか紹介してもらえないケースもあります。

それを回避する為にも、複数の派遣会社に登録することをお勧めします。有期雇用者(契約社員や派遣社員)には、という「契約を継続しない場合には必ず1ヶ月以上前に告知しなければならない」「1ヵ月前告知義務」が雇用者に定められています。

次の契約更新に際して、2ヵ月前くらいから派遣会社に確認することをお勧めします。
派遣保育士は時給で働いているため、ボーナスがありません。派遣会社との契約で寸志が出る可能性はありますが、かなり少ないです。ボーナスがない事は収入面でデメリットです。
時給制のため私用や体調不良で出勤が少なかった場合、想定よりも賃金が低くなります。また園の都合により、予定より早く契約終了となる場合もありますので、収入が不安定になりがちです。
正規保育士の場合は管理職や専門職などへキャリアアップの道がありますが、派遣保育士の場合はあくまで雇用主は派遣会社となるため、キャリアアップが難しくなります。

役職や役割を変える時は、派遣会社と園で契約の内容を変更する必要があるため、同じ園で別の役割や役職を得ることは難しく、就業先を変えざるを得ません。この点は注意が必要です。
正社員に比べ補助仕事が多く、責任のある仕事や役職に就くことが難しいこともあり、園によっては、正社員との間に壁を感じる場合があります。ただ、2020年4月から同一労働同一賃金を盛り込んだ改正労働者派遣法が施行されますので、今後は正社員との壁は少なくなると予想されています。
派遣保育士は、同じ保育士でも正規雇用に比べて非常に柔軟性がある勤務形態です。仕事よりプライベートを優先したい人や、無資格だけど保育に携わってみたいといった初心者にも有効的です。

復職するためのステップとして、一時的に派遣保育士を選ぶことも良い選択肢です。パートやアルバイトに比べて時給も高く、派遣会社に守られている環境を生かして、仕事もプライベートも両立しやすいといえます。
【派遣保育士には2つの種類がある】
・紹介予定派遣
・登録型派遣

【派遣保育士の有給休暇】
・雇い入れ日より半年間継続して勤務していること
・全労働日の8割を出勤していること

【派遣保育士の産休】
・条件1.入社1年未満の者
・条件2.子が1歳に達する日を超えて雇用される見込みのない者
・条件3.子が1歳に達する日から1年を経過する日までに、雇用が満了し、更新されないことが明らかな者

【派遣保育士の社会保険】
・所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8万8千円以上
・勤務期間が1年以上見込まれること

【派遣保育士の雇用保険】
・1週間あたり20時間以上働いている
・勤務開始から31日以上働く見込みがある
・学生ではない ※ただし、休学中などの例外あり

【派遣保育士という働き方のメリット】
・柔軟に勤務できる
・無資格者でも勤務できる
・賃金が良い
・仕事の負担が少ない
・残業が少ない
・短時間勤務が可能
・派遣会社のサポートがある
・定期的に職場を変更できる

【派遣保育士という働き方のデメリット】
・契約期間がある
・ボーナスがない
・場合によって収入が不安定になる
・キャリアアップが難しい
・正社員と壁がある

【派遣保育士のまとめ】
・柔軟性のある働き方が可能
・好待遇で賃金が比較的良い
・短時間でも勤務可能
・残業が少なく、安定している
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