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男性保育士の将来性やメリットは?割合・給料・転職の実態を徹底解説

2020.05.13
近年では男性保育士が増えていますが、その実態や給与について気になる人が多いと思います。本記事では保育士全体のうちの男性保育士の割合や給料、そして、将来性や転職事情についてまとめています。男性保育士を目指している人や、転職を考えている人は参考にしてください。
男性保育士の仕事は、「0歳~6歳までの乳幼児の保育」です。具体的には、乳幼児の食事や睡眠、排せつ、衣類の着脱などの基本的な生活習慣を身につけさせることが仕事です。また、子どもの教育などについて保護者へアドバイスすることも重要です。そのほか行事の立案、準備なども業務に含まれます。

常に子どもの動向に気を向けなければなりませんし、保護者からの苦情も少なくありません。しかし、子どもの成長を身近に感じられるほか、子どもたちの笑顔を見ることができるなどやりがいも多い仕事です。子どもが好きな人にはおすすめの職業になっています。
厚生労働省の調査によると、平成25年時点での保育士登録者のうち男性の割合は4%とかなり低いです。全体の保育士登録者数が1,186,000人なのに対して、男性の保育士登録者数はわずか50,000人しかいません。また、保育士に登録している人がみな就業しているわけではなく、男性保育士は女性保育士より就業率が低いため、実際に働いている男性保育士の割合はより少なくなっています。

このように昔より増えたとはいえ、男性保育士はまだまだ少なく珍しい存在だと言えます。
男性保育士の平均年収は約340万円です。女性保育士の平均年収が320万円なので、女性よりは給料が高いです。しかし、職業全体から見るとそこまで給料が高いとは言えません。

また、就業する保育園が公立なのか私立なのかでも給料は変わります。公立の場合は、定期昇給があるため、長く勤めれば勤めるほど給料は上がっていきます。しかし、私立の場合、なかなか昇給せず、低収入のまま長く働いてることが多いです。そのほか、園長や主任などの役職に就いているのかどうかや、勤務する都道府県によっても給料は変化します。

その平均年収の低さから、将来的に仕事を続けていけるのかを不安に思う男性保育士は少なくありません。保育士として働くことに覚悟と熱意がないと続けることが難しい職業と言えます。
近年では男性保育士が増えているように、男性保育士の需要が高まっています。ここでは、保育園が男性保育士を採用するメリットを紹介します。男性保育士として働きたい人は、自分の強みを把握しておきましょう。
男性保育士のメリットのひとつに、力や体力がある点が挙げられます。保育園では身体を動かす機会が多く、力仕事をする場合もあります。子どもたちの遊びに一緒に参加したり、行事の準備をしたりなど、体力が必要な仕事です。その点、男性保育士なら力や体力があるので、そういった場合も活躍できます。
男性保育士の大きなメリットとして、防犯対策があります。子ども達を預かる保育施設では、防犯対策が重要になります。女性だけの職場は不審者から狙われやすくなります。その対策に男性保育士を1人以上常駐させることで、不審者の侵入への抑止力となり、安心して働ける職場作りにもつながります。

また公園などで遊ぶ際に、男性保育士が居れば防犯対策になりますし、保護者も安心できます。そのほかに、女性保育士に対して高圧的になる理不尽なクレーマーも、男性保育士がいればおとなしくなるケースが多いです。
女性が多い職場では、男性保育士が居るかどうかで雰囲気が大きく変化します。女性だけだと派閥ができやすいですが、男性保育士が居ることで職場の調和がとれ、人間関係に関するトラブルが起きにくくなります。

また子ども達には、男性保育士の元気さや明るさを見せることで、手本としていい影響を与えることにつながります。このように、職場に多様性をもたらすことが男性保育士を採用するメリットのひとつです。
「動物園への遠足」や「お泊り保育」などの園外保育を行う際、必ず園児をトイレに連れて行く機会があります。公共の場所で男の子をトイレに連れて行く場合、女性保育士では入り口までしか案内できません。その点男性保育士なら、トイレの中まで案内できるほか、トイレに園児がまだ残っていないかの確認や、不審者が居ないかのチェックが可能です。そのため男性保育士が1人いたら、園外保育に困ることが少なくなります。
近年では、父親が積極的に育児に関わっている家庭が増えています。しかし保育園は女性が多い職場のため、子ども達の父親は話しにくく、子育てに関する質問などもしづらいと感じることが多いです。その点男性保育士がいれば、気軽に話しかけやすくなり、小さいことでも相談しやすい環境になります。

また子育てに困っている父親に対して、男性目線でのアドバイスができます。子育てには父親の協力が不可欠です。その一助になれるのが、男性保育士のメリットと言えます。
保育士として働いている男性には、数多くの悩みがあります。ここでは、男性保育士の6つの悩みを紹介しています。悩みに対する対処法もまとめているので、困った際には参考にしてください。

・職場に男性が少なく、人間関係に苦労する
・保護者から偏見をもたれることがある
・男性であることを理由に仕事を押し付けられやすい
・男性用の環境や設備が整っていない
・不器用で裁縫や制作が得意ではない
・目に見える形で評価されにくい
男性保育士の割合を見れば分かりますが、保育士の職場に男性は少ないです。そのため気軽に話したり、仕事の相談をする相手がおらず、孤独感を感じる男性保育士が多いです。また、職場の人間関係にも気を遣わなければならず、職場で壁を作ってしまいがちです。

これらの悩みの対策ですが、最も効果的な方法は男性保育士が多い保育園に転職することです。男性保育士が居る職場なら、コミュニケーションに苦労することが減ります。また、女性保育士と過剰に壁を作らないようにすることも大切です。自信を持って他の保育士と接しましょう。
保護者によっては男性保育士に偏見を抱いている場合があり、一部の男性保育士の不適切な行動によって、男性保育士全体に対して疑惑の目を向けてしまいます。保育園によっては、男性保育士に女児の着替え指導や、オムツ交換をさせないよう配置換えをしている場合もあります。

こういった偏見に対する対策ですが、多くの男性保育士が誠実に働き、子どもに対して愛情を持って業務に臨んでいることを理解してもらうことが重要です。地道に信頼を築いていきましょう。

保護者によっては男性保育士全体を懸念していますが、一方、子どもの父親からは、同性ということで話しかけやすく育児の悩みを相談されたりします。誠実な対応を続けていれば、自然と女性の保護者からも信頼されるので、安心してください。
保育園では、力仕事や体力を使う仕事が多くあります。そして、男性保育士は体力や力があるという理由でそれらの仕事を押し付けられやすいです。そのため、言われるがままに仕事をこなしていると、必要以上に疲れますしストレスがたまってしまいます。

こういった悩みを抱えている人は、できないことはできないとはっきり伝えることが大切です。性別に関係なく、お互いに助け合える職場づくりを目指しましょう。
保育園によっては、男性保育士が働くための環境や設備が整っていない場合があります。更衣室は性別問わず職員用に1つしかなく、トイレも1つしかないことも多いです。勤務時間は男女で変わりないので、必然的に少数側の男性保育士が配慮することになります。使っていない部屋で急いで着替える必要があり、トイレの使用にも気を遣わなければなりません。

これらの悩みの対策には保育園側の協力が不可欠です。更衣室をパーティションやカーテンなどで仕切ったり、トイレには使用中の札をつけたりすることが対策につながります。また、ただ保育園側に任せるだけではなく、自分から保育園側に積極的に対策案を提案しましょう。
保育士は、器用さを必要とする業務をこなす機会が多くあります。手芸には裁縫のスキルが必要ですし、キャラクターを描くには絵を描くスキルが必要です。こういったことが苦手な人は苦労する場合が多いです。

これらの悩みに対する対策ですが、こういった苦手な業務に自分から積極的に挑戦していくことが大切です。回数を重ねることで、最初は苦手だったとしても、慣れていきスキルが上がってきます。
保育士は一般企業と異なり、数字による成績評価が存在しません。そのため、数値評価に慣れている男性だと、モチベーションを保つことが難しいと感じることが多いです。そういった場合には、数字にとらわれず子どもたちの笑顔や成長をやりがいにして、保護者との信頼関係を築くことを目標にして働くようにしましょう。そうすることで、モチベーションを保つことにつながります。
男性保育士には既存のキャリアモデルが存在せず、将来的にどうなるのか不安に感じている人が多いです。そのため、ここでは男性保育士の将来性について解説します。男性保育士の需要ややりがい、スキルアップの方法について解説しているので参考にしてください。
女性保育士と得意範囲が異なるので、男性保育士としての需要は少なくありません。男の子の行動や気持ちは男性保育士の方が理解しやすく、なつかれやすいです。保護者によっては、自分の子どもを男性に見てもらいたくないという意見もありますが、基本的には女性保育士や保護者から頼りにされている場合が多いです。

また需要自体は上昇傾向ですが、求人の数はまだまだ多くはありません。男性保育士を採用しない理由は、保育園の経営方針として結婚するまでの女性の保育士を雇うことで人件費を抑えようとしていることがあります。また今まで男性保育士を採用していなかったため、そもそも男性が働くためのトイレや更衣室などの環境を作る余裕がない場合もあります。

全体で見ると、中規模以上の保育園で1~2名採用されているのが現状です。
男性保育士のやりがいですが、子ども達の成長を感じられる点が挙げられます。子どもの成長は速く、昨日できなかったことが今日はできるようになってることも多いです。そんな日々の成長を子どもの近くで感じられることが保育士として働く大きな魅力です。

また保護者から育児の相談をされたり、感謝の言葉をもらえることも男性保育士の魅力です。保護者と信頼関係を築き、子どもとの接し方や育児の方法についてのアドバイスを求められたり、「いつもありがとうございます」と感謝してもらうことで、男性保育士としてのやりがいを実感できます。
男性保育士が給料を上げる方法として、まずは公立の保育園への転職がおすすめです。公立保育園の保育士は公務員なので、勤続年数が長くなるほど給料が上がっていきます。しかし公立保育園は民営化が進んでおり、就業のハードルが高いです。そのため今から公立保育園への就職を目指している人は、公務員の資格を取得することがおすすめです。

また、園長や主任などの管理職になることでも給料を上げられます。管理職になるために、普段から漠然と仕事をこなすのではなく、リーダースキルを磨きながら、他の人が嫌がるような業務を率先してこなしていきましょう。

スポーツや運動に力を入れている保育園であれば、男性保育士は有利です。幼児体育やスポーツインストラクターの資格を取得することで、資格手当を受け取れ、給料が上がります。また資格を取得すれば、フリーランスでスポーツ教室や体操教室を開き、個人事業主として給料をアップさせられます。男性保育士は子どもの扱いに長けているので、幼児教室などでは、安心して子どもを預けられると人気が出ることが多いのでおすすめです。
男性保育士の求人状況ですが、男性保育士歓迎の求人は多くありません。また給料など待遇面では男女の差はないですが、将来的に園長や主任など管理職になることを期待しての男性保育士向けの求人も増えています。

求人を探す際は、保育士専門の求人・転職サイトを利用するのがおすすめです。サイトによってはアドバイザーに相談することもできるので、ひとりで求人を探すことに苦労している人も安心です。
男性保育士がキャリアを重ねるには、就労環境が重要になってきます。ここでは男性保育士が求人を選ぶときの5つポイントをまとめました。それぞれ詳しく解説しているので、求人を選ぶ際、参考にしてください。

・公立保育園は安定して働ける
・夜勤保育がある保育園は夜勤手当が稼げる
・運営する保育園が多い企業や法人に就職すると管理職を目指しやすい
・すでに男性保育士が働いている保育園がおすすめ
・平均勤続年数が短い、求人の数が多すぎるなどの職場は避ける
民間の保育園と異なり、公立保育園なら安定してキャリアを重ねることができます。公立保育士は公務員なので、年功序列で給料が増えていきますし、職を失うリスクも低いです。可能なら公立保育園への就業を目指しましょう。
大きく給料を稼ぎたいという人には、夜勤保育がある保育園がおすすめです。夜勤の勤務中には、通常賃金の1.25倍の賃金を払わなければならないと法律で定められています。保育園によっては、深夜1回毎に手当がつくこともあります。ただし、勤務内容自体は通常勤務とそこまで差がありませんが、夜勤中にこまめに子ども達の様子を見たりする必要があり、体力的に大変です。そのため、体力に自信がある人におすすめです。
男性保育士は、複数の保育園を運営している企業や法人に就職することがおすすめです。保育園の数が多いと、その分管理職のポストの数も増えるため、主任や園長に昇進できるチャンスが増えます。

主任や園長に昇格すると年収も上昇するので、男性保育士として稼ぎたいという人にはおすすめです。
現状、男性保育士が働いている保育園は多くありません。保護者からの苦情を恐れて採用に消極的な保育園も存在します。そのため、少しでも男性保育士が働いている保育園への就業を目指すのがおすすめです。すでに、男性保育士が働いている保育園は、男性が保育士として働くことに理解があります。また、男性保育士が働きやすい環境が用意されている場合が多いです。

また、男性保育士は女性保育士との関係に気を遣わなければなりません。すでに、男性保育士が働いている保育園なら、人間関係や仕事の相談を気軽に行えるので、仕事がしやすくなります。働きやすい職場を見つけたい人は、意識しておきましょう。
平均勤続年数が極端に短かったり、求人の数が多い職場は避けるようにしましょう。こういった職場は、離職率が高く、頻繁に人が入れ替わっており、働きやすい保育園ではないことを示しています。

また、離職率が高い職場は、雰囲気が悪い場合が多いです。面接などで実際に職場を見学できる機会があったら注意して確認しておきましょう。
男性保育士を採用するメリットは多くあり、今後、需要が増していく職業と言えます。男性保育士ならではの悩みも存在しますが、やりがいも多く、子どもが好きな人にはおすすめの職業です。

しかし、現状では、そこまで数が多いわけではないので、就業の際は、職場選びが大切になってきます。自分が希望する収入や勤務時間と相談して、自分に合った職場を見つけましょう。
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