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扶養の範囲内で働くための月収とは?5つの年収の壁について解説

2020.09.09
扶養の範囲内で働く月収の上限は、「扶養内」が何を指すかによって変わります。この記事では、夫の「扶養内」で働きたい女性のために、そもそも「扶養内」とは何か、配偶者控除のそれぞれの「壁」と月収の上限、思い切って扶養を外れて働く場合のメリットまで詳しく解説。手取りを多くしたい方はぜひ役立ててください。
扶養とは「養って助ける」という意味です。納税者が配偶者などの親族を養うことにより、様々な控除を受けられる(一定の金額が差し引かれる)仕組みです。こうした控除の範囲内のことを「扶養内」といいます。
扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。扶養によって受けられる控除の上限は複数あり、それぞれ「○○万円の壁」といわれています。
「扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除」という3つの所得控除のうち、いずれか1つを受けることを「税制上の扶養」といいます。

夫(納税者)の「扶養内」で働きたい妻(配偶者)にかかわるのは、配偶者控除と配偶者特別控除です。妻の給与年収(以下、収入)と控除の具体例は表1の通りです。

妻の収入が100万円以下だと、基本的に妻自身には住民税(所得割)がかかりません。しかし収入が100万円以下でも、妻自身に住民税(均等割)がかかる市区町村もあるので注意が必要です。
夫(納税者)と妻(配偶者)の収入に応じて、夫の所得から一定の金額が差し引かれる所得控除のことを「配偶者控除」といいます。

夫が配偶者控除の対象となるのは、妻の収入が103万円以下に収まっている場合です。夫の所得が控除されるため、所得金額に応じてかかる所得税・住民税を軽減できる効果があります。

配偶者控除の控除額は夫の収入によって変わり、38万円・26万円・13万円の3段階があります。例えば夫の年収が400万円だと、所得税と住民税をあわせた節税額は5万5,000円程度が目安です。
妻が103万円を超える収入を得た場合でも、まったく控除されなくなるわけではありません。妻の収入が201万6,000円未満であれば「配偶者特別控除」の対象です。

ただし妻の収入に応じて段階的に控除額が減ります。夫の収入にも控除額が変わる段階があります。
夫の社会保険上の扶養に妻が入っていると、妻本人で健康保険料を納付することなく保険を利用することができます。国民年金の保険料も負担する必要はありません。

2020年度の国民年金の保険料は月額16,540円です。年間では19万8,480円になります。社会保険上の扶養に入っていれば、こうした金額を節約することができます。

週20時間以上働いて、106万円以上の収入を得るようになると、妻自身、勤務先で社会保険に入る必要が生じます。妻の収入が130万円以上になると、夫の社会保険上の扶養から外れます。
「税制上の扶養」の場合、交通費・通勤手当は収入に含みません。「社会保険上の扶養」の場合、交通費・通勤手当は収入に含みます。収入に含む・含まないという違いがある理由は、それぞれかかわる法律が異なるからです。

税制上の扶養の場合、所得税法によって月15万円まで通勤手当は非課税と定められています。社会保険上の扶養の場合、健康保険法や厚生年金保険法などによって通勤手当は報酬と定められています。
扶養に入っていると、妻本人は税金や保険料が免除され、夫は控除が受けられるなど、世帯全体としてのメリットが大きいです。そのためそれぞれの控除の「壁」について考慮する必要があります。
収入の「壁」を超えると、夫と妻の手取りを合計した世帯全体の手取りが少なくなってしまうこともあります。

とくに「壁」をぎりぎりで超えるときは注意が必要です。収入は増えたのに手取りは減ったという逆転現象が起きる可能性があります。こうした「働き損」にならないよう検討することが大切です。
配偶者が対象となるのは「配偶者控除・配偶者特別控除」です。これらの控除を受ける際の収入の上限について解説していきます。
妻自身で所得税を納める必要が生じる「税制上の壁」です。さらに夫が受けられるのは「配偶者控除」ではなく「配偶者特別控除」になります。

また会社員の夫が「配偶者手当」をもらっている場合、妻の年収103万円以下を条件としている企業も多いです。つまり配偶者手当にとっても103万円が壁となります。

例えば妻の収入が1万円増えて104万円になると、所得税額は500円です。そのため妻の所得税より、夫の配偶者手当のほうが影響は大きいといえます。
約8万5,000円未満という月収に抑える必要があります。
正社員が501人以上の会社で働いている場合、下記の条件をすべて満たすと社会保険料(健康保険料・年金保険料)を負担する義務が生じます。これは「社会保険上の壁」に相当します。

・収入が月8万8,000円以上
・雇用期間が1年以上
・所定労働時間が週20時間以上
・学生ではない

収入が106万円未満の場合、扶養に入っていれば、妻自身では健康保険料も年金保険料も納める必要はありませんでした。しかしこの壁を超えると、妻自身が勤務先で社会保険に加入し、社会保険料を納付することになります。
月収の目安は約8万8,000円未満です。
妻が夫の社会保険上の扶養ではなくなるという「社会保険上の壁」です。妻自身で健康保険と年金に加入し、保険料を納付しなければいけません。

130万円の壁を超えたときに、妻自身が納めることになる保険料は大きいです。5つの壁の中で一番世帯全体の手取りに影響があるのはこの壁です。
月収約10万8,000円未満が目安です。
妻の収入が150万円を超えると、夫の配偶者特別控除額が満額の38万円から少しずつ減額されるという「税制上の壁」です。

例えば夫が1,120万円以下、妻が155万円以下の収入を得ている場合、控除額は36万円です。さらに160万円以下などと段階が上がっていき、最終的には201万6,000円未満で控除額が3万円になります。
月収約12万5,000円未満であれば壁は超えません。
妻の収入が201万6,000円以上になると、150万円を超えてから少しずつ減額されていた配偶者特別控除額が0になるという「税制上の壁」です。つまり夫が配偶者特別控除の対象から外れるということです。
月収を約16万7,000円未満に抑える必要があります。
世帯全体の手取りをもっと増やしたい場合は、扶養には入らないというスタイルで働く方法もあります。一般的に妻の年収が150~160万円以上になるとメリットのほうが大きいと考えられています。

具体的なメリットについては続いて解説します。
妻が夫の扶養を外れて働くと、保育園の入園・将来の年金・キャリアアップの3点でメリットがあると考えられます。
保育園は幼稚園と違って「保育の必要があるかどうか」が入園の条件になります。とくに認可保育園の場合は、保護者の状況などを「点数化」し、入園の優先順位を決めている自治体がほとんどです。

パートタイムよりフルタイムなど、勤務時間が長いほうが点数は高いです。扶養を外れて長時間勤務したほうが保育園に入りやすくなります。
勤務先の社会保険に加入し、社会保険料を自分自身で負担した場合、基礎年金に加え、厚生年金も受け取ることができます。
「壁」を気にせず働くことで、昇進・昇給を目指すことができます。専門的なスキルを身につけるなど、現状より高い役職や給料の職場へと転職することも視野に入れられます。
扶養の範囲内で働く月収と5つの壁について表2にまとめました。
壁を超えると手取りが減ることもあるので、とくにぎりぎりで壁を超える場合は注意が必要です。ただ、手取りを増やしたければ扶養から外れるのも選択肢の1つ。保育園の入園や将来の年金、キャリアアップの面でメリットがあります。

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